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マル激トーク・オン・ディマンド 第859回(2017年9月23日)
安倍政権の下で国の形が大きく変わっている
ゲスト:鈴木邦男氏(一水会元会長、作家)
司会:神保哲生 宮台真司
【鈴木邦男氏の2023年1月のご逝去を受けて、過去の番組を追悼番組として無料で放送いたします。】
緊迫する北朝鮮情勢を横目に、永田町には解散風が吹き荒れている。
北朝鮮やモリカケ問題は言うに及ばず、景気の先行きも不透明さを増す中で1か月もの政治空白を作ることには批判も多いが、日本人は得てして首相の解散権行使には寛容なようだ。メディアが「解散は首相の専権事項」との言説を当然のように垂れ流しているのは明らかな事実誤認だが、憲法7条に基づく首相の解散権については、1960年の最高裁判例が「政治と国民が決めること」とするにとどめ、判断を避けたままになっている。憲法7条以外に首相の解散権を定義する法律が存在しない以上、最高裁判決はわれわれ有権者がこの解散の正当性を判断しなければならないことを示している。この解散の是非自体が、来たる選挙の大きな争点の一つとして認識されなければならないということだ。
とは言えいずれにしても総選挙が行われる以上、われわれはそこで何が問われているかをわれわれなりに考え、それぞれが独自の意思決定をしなければならない。
安倍首相は25日にも記者会見を行い、解散の意向を明らかにするとともに、来たる選挙の争点を表明するとしているが、時の権力者に選挙の争点を一方的に決められては有権者はたまったものではない。無論、選挙の争点は有権者が決めるものだ。
そこで今回は右翼団体「一水会」の元最高顧問で、最近も天皇制や憲法改正問題などで積極的に発言をしている鈴木邦男氏とともに、安倍政権の5年間を振り返り、安倍政権とは何だったのかをあらためて検証し直すことで、選挙の真の争点とは何かを考えてみた。
安倍政権は選挙のたびにアベノミクスや消費税増税の延期といった経済政策を前面に掲げて選挙に臨み、すべての選挙で連戦連勝してきた。しかし、その後の政権の実績を見ていくと、経済選挙で勝ち取った過半数を盾に、実際は軍事や警察などの政府権限を大幅に強化する法律や制度の導入を専ら図ってきたことが目につく。具体的には政府の情報秘匿権限を拡大する特定秘密保護法や集団的自衛権の行使を可能にする安保関連法の制定、武器輸出三原則の緩和、盗聴権限や司法取引制度によって警察・検察の権限を大幅に強化する刑事訴訟法の改正、共謀罪を導入する改正組織犯罪処罰法の制定、国家安全保障会議の発足、官邸が幹部官僚の人事権を一手に掌握する内閣人事局の発足などだ。
また、同時に3条委員会や8条委員会など本来は政府から一定の独立が保障されている行政委員会の人事も、最低でも最大野党からの同意を得るという長年の不文律を破り、与党単独で押し切ってきた。その中には、日銀の総裁や政策委員、NHKの経営委員会やNHK予算、内閣法制局長官、原子力規制委員会の委員などが含まれる。いずれも政府の政策に大きな影響を与える組織だが、安倍政権発足後、かつての不文律や慣習はことごとく破り捨てられ、安倍政権下では独立行政委員会は内閣の一部局のような位置づけになってしまった。
憲法学者の石川健治東京大学教授はマル激に出演した際に安倍政権による一連の不文律破りを、「民主主義のセーフティネットの突破」「一種のクーデター」と表現し、その危険性に警鐘を鳴らしている。
ことほど左様に、この5年間で日本という国の形が変わったといっても過言ではないほどの重大な政策・制度変更が行われてきたにもかかわらず、それが必ずしも選挙で問われていないと感じるのは、なぜだろうか。メディアの怠慢だろうか。政治というゲームのルールが変わっていることに、長年お任せの政治に慣れ親しんできた有権者が、とびきり鈍感なのだろうか。
いずれにしても、安倍政権下で行われてきた選挙では毎回、景気や税といった経済政策ばかりに焦点が当たり、その裏側で着々と進められてきたより大きな変革には十分な関心が払われてこなかった。メディアも有権者も、政権側が設定した政権にとって都合のよい争点に、まんまと乗せられてきた感は否めない。
本来は右翼活動家として憲法改正を推進し、天皇を尊崇することにかけては誰にも負けないという鈴木氏だが、安倍政権による憲法改正や自民党の憲法改正草案が謳う天皇の国家元首化に反対の立場を取る。自民党の憲法改正案に謳われている愛国や家族を支える義務は、愛国者が自から進んで行うべきものであり、「国によって押し付けられるべきものではない」との考えからだ。また、天皇を国家元首とすることについても、政治利用目的が透けて見えるという理由から、今の政権の下で行うのは危険だと感じると鈴木氏は言う。
安倍政権が実施してきた政策の中には、一定の効果をあげているものもあるだろう。安倍政権のすべてがダメだと言うつもりはない。しかし、ここに挙げられた政策の数々は、安倍政権の体質を如実に表すと同時に、個別の政策の是非を超えた、政権が変わってからも永続的に日本の針路に影響を与える法律や制度ばかりだ。目先のニンジンに釣られていると、国家100年の計を見誤る可能性があるのではないか。
衆議院選挙は政権選択選挙と言われる。衆院の議席配分が事実上日本の首相を決定することになるからだ。であるならば、この選挙は単に目先の政策が問われているのではなく、国の行く末が問われていると考える必要がある。
愛国者の立場から長年日本の政治と関わってきた鈴木氏とともに、この選挙が何を問うているかについて、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
【プロフィール】
鈴木 邦男(すずき くにお)
一水会元会長、作家
1943年福島県生まれ。67年早稲田大学政治経済学部卒業。70年早稲田大学大学院政治学専攻修士課程中退。同年産経新聞社入社。73年同社を退社後、右翼団体「一水会」を創設し会長に就任。99年顧問。2015年顧問を退任。著書に『言論の覚悟 脱右翼篇』、『天皇陛下の味方です』、『憲法が危ない』など。
宮台 真司 (みやだい しんじ)
東京都立大学教授/社会学者
1959年宮城県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。社会学博士。東京都立大学助教授、首都大学東京准教授を経て現職。専門は社会システム論。(博士論文は『権力の予期理論』。)著書に『日本の難点』、『14歳からの社会学』、『正義から享楽へ-映画は近代の幻を暴く-』、『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』、共著に『民主主義が一度もなかった国・日本』など。
神保 哲生 (じんぼう てつお)
ジャーナリスト/ビデオニュース・ドットコム代表 ・編集主幹
1961年東京都生まれ。87年コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。クリスチャン・サイエンス・モニター、AP通信など米国報道機関の記者を経て99年ニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を開局し代表に就任。著書に『地雷リポート』、『ツバル 地球温暖化に沈む国』、『PC遠隔操作事件』、訳書に『食の終焉』、『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』など。
【ビデオニュース・ドットコムについて】
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(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
#マル激 #神保哲生 #宮台真司 #鈴木邦男
23件のコメント
香港民主運動の応援として、海外に亡命した真なる香港人議会に呼応すべく、本チャンネルは二次創作作品「Frogheat」(原曲:アンソン・ローの「Megahit」)を制作しました。いいねと拡散をどうかお願いします✨
ナムナム
私にとっては宮台真司さんがまさに、イキに感じる存在。
貴重な動画を無料配信してくださること神保さんに感謝します。
鈴木邦夫さんに追悼の想いを寄せながら後半も拝聴いたします。
アンチ安倍という予定調和にはまってて面白くない。
この頃の宮台さん本当に酷いですね笑。内容も一方的だし、何より折角ゲストが来てるのに延々と喋ってる。神保さんも全くコントロールできてないし、する気も無い。
「尊敬すべき敵」という鈴木さんの言葉にお人柄を感じます。
氏のご逝去を聞いた数日後、日本共産党の委員長の公選を訴える書籍を出版した党員の除名処分を伝える報道に愕然としました。
保守から左翼と呼ばれた鈴木さんの感想を聴いてみたかった。
日本共産党と安倍的自民党政治の手法の何処に違いがあるのか(笑)。
「尊敬すべき敵」はおろか尊敬すべき同士さえ出会えない今が到来したということか。
沢山の人が、見て欲しい、いや、見るべき。
真実の入り口かと。
若い人達程正義より損得勘定か。日本終わりだね。
スイスの国民発議制を検討しても良い頃でしょうね ブロックチェーン技術を利用した直接民主主義と間接制を併用するのが合理的です
7年前の物とは思えないくらい
日本政治はこの時から全く進歩してない・・・・
解散万歳‼漫画だな‼どれだけ政治屋どもがバカどもだらけが分かるね//
バカの私には初手から、キツイwww ググりっぱなしだわw
序盤で、宮台さんが、ずるいといい、鈴木さんがうまいなと言ってることについて、壺だったんだということを知ってから見ると感慨がありますね。
鈴木さん、有り難うございました。そしてご冥福をお祈りします(/_;)
日本には憲法裁判所がない時点で本当に先進国なのか疑問だよね。
この動画を見たら、流石に劣化した大手TVキー局の番組は視なくなるだろうな。他人事だけど、テレビ業界これからどうするの?
ご冥福をお祈りします
19:55
「弱い犬ほどよく吠える」を権力者に対して言うのは惨めだしブーメランなんだよなあ
1:05:24→「廣松渉の口癖は尊王攘夷でした」
には痺れた。
鈴木邦男さんも嬉しそう。
ご冥福をお祈りします。ありがとうございました
かつてロフトプラスワンで「失敗の愛国心」のサイン本を頂いたことを覚えています。確か宮台先生が2つ隣の席におられました。
謹んでお悔やみ申し上げます。
「ボクは邦男さんから学んでますから」最高の誉め言葉。
控えめで、しかし何物も恐れずに自分の信念をつき通す鈴木邦男氏。素晴らしい人でした。