『永遠の大道』 ジェラルディン・カミンズ著
 浅野和三郎 訳並びに評釈
 第十二章 死の眞相(しんそう)
 急死

 時とすれば、帰幽者の中には、自分の死を知らぬものがある。こんな事をいうと、いかにも信じ難く思われるか知れぬが、しかしある特殊の場合には、それが実際の事実なのである。

 この不可思議なる認識不足の原因は、実にその人の過去の経歴中に見出される。もしも彼が強烈なる物欲の奴隷であり、金銭に対する執念に燃えつつ帰幽したとすれば、他界の居住者の姿を、ちらと瞥見(べっけん)した位では容易に承服出来ず、自分は未だ断じて死んでいないと、あくまで頑張りながら、盲滅法界(めくらめっぽうかい)に自分の家を捜し、財宝金銭を捜して、幽界の闇路を駆け巡るのである。時とすればそれ等の幻影が、自分の直ぐ前面に現れる。しめたと思って追いすがれば、プイと消えて跡形もない。消えては現れ、現れては又消え、後にはただ焦燥と失望とが残る。こういった利己主義者は、暫く顕幽の境界辺に滞留を余儀(よぎ)なくせられ、物欲が消滅するまでは、決して自由が与えられないのである。

 中には又ほぼこれと同じく、暫時冥府に滞在を余儀なくせらるるものもあるが、幸いにして、それは寧(むし)ろ例外に属する。それは元気旺気(おうき)で、無鉄砲で、そして相当道楽もやった若者の急死の場合に起こる現象である。自分にはとんと死ぬ気持も何もない、血気盛りに、無理矢理にその肉体からもぎ離された、甚だ気の毒な連中のこととて、地上生活と幽界生活の相違が容易に腑に落ちない。従ってそのエーテル体が、あまりにも急激な変動の打撃から次第に回復するまでは、一時人事不省(じんじふせい)の状態に陥ってしまうのである。
 しかしながら、前にもいう通りこれ等は例外で、大部分の男も女も、丁度渡り鳥の如く冥府を通過し、その間に、折りふしここかしこで、自分よりも前に帰幽した親戚朋友(ほうゆう)と会ったり、又一時的の幻影にぶつかったりして、小休憩を行なうのみである。彼等の入り行く新世界は、言ふまでもなく、例の努力の要らない夢幻境で、主として現世生活の繰り返しの如き、一種の生活模様を編み出すことになる。

『永遠の大道』 ジェラルディン・カミンズ著
浅野和三郎 訳並びに評釈
発行所 潮文社 2005年6月15日 新装版
本書は、本文復刻版『浅野和三郎著作集』の一冊として四六上製版で昭和60年7月に発行されたものの新装版。
『永遠の大道』の復刻原本は、東京の嵩山房(崇山房)より1925年(大正14年)12月出版。

浅野 和三郎(あさの わさぶろう) Wazaburo Asano.
1874年(明治7年)8月 – 1937年(昭和12年)2月


永遠の大道 | G. カミンズ, Cummins,Geraldine, 和三郎, 浅野 |本 | 通販 | Amazon


永遠の大道―付・個人的存在の彼方 | G. カミンズ, Cummins,Geraldine, 和三郎, 浅野 |本 | 通販 | Amazon

“The Road to Immortality”
by Geraldine Cummins
Ivor Nicholson & Watson, Ltd. (1932)
London, England

故マイヤース Frederic William Henry Myers(1843-1901)の霊魂がカムミンス霊媒を通じて行った自動書式通信。

休止時とすれば 勇者の中には自分の死を知らぬものがある こんなことを言うと いかにも 信じがたく思われるか知れぬが しかしある特殊の場合にはそれが実際の 事実なのである この不可思議なる認識不足の原因は実に その人の 過去の経歴中に見出される もしも彼が強烈なる物欲の奴隷であり 金銭に対する 執念に燃えつつ帰有したとすれば 他界の居住者の姿を ちらと別件したくらいでは 容易に 承服できず自分はいまだ断じて死んでい ないと あくまで 頑張りながら めくらめっぽを買いに自分の家を探し 財宝金銭を探して 誘拐の闇自を駆け巡るのである 時とすればそれらの 幻影が自分のすぐ前面に現れる 閉めたと思って 追いすがれば プイと消えて後方もない 消えて現れ現れてはまた消え 後にはただ 焦燥と 失望とが残る こういった利己主義者はしばらく 剣友の教会編に 滞留を余儀なくせられ 物欲が消滅するまでは 決して自由が 与えられないのである 中にはまたほぼこれと同じく 暫時冥府に 滞在を余儀なくせられるものもあるが 幸いにしてそれは むしろ例外に属する それは 元気多きで 無鉄砲でそして相当道楽もやった若者の 休止の場合に起こる現象である 自分には 尊と死ぬ気持ちも何もない 血気盛りに 無理やりにその 肉体から 解き放された 甚だ気の毒な連中のこととて 地上生活と

誘拐生活の相違が 容易にふに落ちない 従ってそのエーテル体があまりにも 急激な変動の打撃から次第に回復するまで は 一時人事不正の状態に陥ってしまうので ある しかしながら 前にも言う通りこれらは例外で大部分の男 も女も ちょうど 渡り鳥のごとく冥府を通過し その間におりふしここかしこで 自分よりも前に 杞憂した親戚 朋友とあったりまた一時的の 原油に ぶつかったりして小 休憩を行うのみである 彼らの入りゆく新世界は 言うまでもなく 例の 努力のいらない無限橋で 主として現世生活の 繰り返しのごとき 一種の生活 模様を編み出すことになる

Leave A Reply