連日、相次いでいるクマ被害についてです。番組では「新潟のクマ博士」の調査に同行しました。すると、人間界の音を聞き分けている実態が明らかとなりました。長年の研究から見えてきたクマの驚きの生態と警戒点です。

■新潟「クマ博士」の調査で新発見

 激しく威嚇する雌のツキノワグマ。鋭い爪で何度も攻撃。よく見ると、近くには子グマがいます。今、市街地での出没が相次いでいる親子グマ。映像から今の時期、警戒すべきことが見えてくるといいます。撮影したのは20年以上、ツキノワグマの生態を研究する新潟の“クマ博士”・箕口秀夫教授です。

 新潟大学農学部 箕口秀夫教授:「威嚇行動の後、不用意に近付くと攻撃される」

 “クマ博士”の調査に同行。貴重な映像から新たな発見が。高い学習能力から人間の音を“聞き分けて”いることも分かってきています。

 新潟大学農学部 箕口秀夫教授:「生活をしているうちに学習する。だから全く反応しない」

 過去最多のクマ被害をどのように防げばよいのでしょうか。

■“アーバンベア”カメラ捉えた最新生態

 番組の取材班が向かったのは新潟県東部の阿賀町。新潟大学農学部・箕口教授のツキノワグマの生態調査に同行させてもらいます。

 新潟大学農学部 箕口秀夫教授:「クマよけの鈴とクマ撃退スプレー」

 クマ対策をして森の中へ。箕口教授は人の生活圏に近い森の中に自動撮影カメラを10台ほど設置。2週間に一度、映像データを回収して分析しています。2本の木にくくり付けた横木。この仕掛けの上に付けるのはクマが好むハチミツと香りが強いブランデーを混ぜて入れた容器です。個体識別の調査のため、クマをおびき寄せます。

 先月30日の映像。現れたツキノワグマが横木に前足を掛けてハチミツの容器の匂いをかいでいます。立った状態のため、胸の白い模様がしっかりと認識できます。

 新潟大学農学部 箕口秀夫教授:「胸の白い斑紋。その大きさや形は人の指紋のように一頭一頭異なる」

 複数のカメラで個体を識別することで、そのクマの行動範囲をある程度知ることができるのです。

 新潟大学農学部 箕口秀夫教授:「冬眠を控えたクマはとにかく栄養を取らないといけない。餌(えさ)が比較的、簡単に取れる人里に餌を求めている」

■犬の鳴き声で母クマ“何度も威嚇”

 特に警戒が必要なのが子グマを連れた雌の親グマです。鋭い爪で執拗(しつよう)に攻撃を加える雌の親グマ。その訳は…。

 新潟大学農学部 箕口秀夫教授:「犬を連れた人が近付いてきて、それにクマが気付いて驚いて威嚇をする」

 犬の気配を察知した瞬間、母グマが威嚇。

 新潟大学農学部 箕口秀夫教授:「子グマを守ろうと思って威嚇をしている。神経質になっているので十分、気を付ける必要がある」

 一方、子グマはすぐさま木に登っているのが分かります。

 新潟大学農学部 箕口秀夫教授:「敵というか、逃げる対象に遭った時には一目散に木に登って逃げる行動をよく取る」

 母グマが威嚇している間に子グマは木を降りて森の奥に逃げていきます。子グマを追って親グマも去っていきました。この時、目の前に人がいたら被害を受ける恐れが強いと警鐘を鳴らします。

 新潟大学農学部 箕口秀夫教授:「母グマの先に人がいた場合、人がさらに母グマに近付いていくと、かなり危険な状態になってしまう」

■高い学習能力 人間の音“聞き分け”

 さらに、別の映像からは…。

 高い学習能力があるとされるクマ。8年前と今年の映像を分析した箕口教授は人間の音を“聞き分けている”クマの進化に気が付きました。

 8年前の映像。住宅近くの森に現れたクマ。すると、近くで鳴ったのは「ししおどし」と呼ばれる田畑から鳥獣を追い払う装置の音です。しかし、クマはその音に驚く様子は見受けられません。ただ、この後に近くの道路を車が通りすぎます。車の音にビクッと驚いた様子を見せ、その場を立ち去ります。この違いは一体。

 新潟大学農学部 箕口秀夫教授:「車の音に関しては止まって人が降りてくる。“音の後に何が起こるのか”ということが『ししおどし』と『車の音』では全く違うことをクマが学習していると考えられる」

 8年が経った今、さらに新たな学習をしているとみられます。車が通る音に全く反応していません。

 新潟大学農学部 箕口秀夫教授:「今年の映像、いくつか車が通っている動画があるが、すべてでクマは無反応。関心を示さない状況。クマにとっては日常茶飯事。車が通ることが当たり前。車が通ったからといって不都合なことはないと学習。人里・市街地に行くとクマにとって大変なことが起こる。きちんと学習させることが必要」

 人間に慣れてきたクマは人里に下りてくるため、遭遇するリスクが高まります。

 阿賀町 鳥獣被害対策専門員 江花一実さん:「クマや大型獣は『山にいるもの』という既存の考え方があったが、これからは『身近にいるもの』と意識を変えていかないと。いつ遭っても対応できる、遭わないよう対応できる知識を皆が持つ必要が出てくる」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

41件のコメント

  1. こういう研究者には敬意を持つ。どこかの団体やクレーマーみたいに「熊さんがかわいそう・・・」みたいなのもおかしいが、ヤフコメみたいに「熊をコ〇セ。コ〇セ」ばかりも問題。
    日本列島は人間だけのものではないとは思う。ただ、ここまでヒトが知能と文化を持つと人間がある程度策を練って実行しないとどうしようもない。人間社会への被害を最低限にしつつ、絶滅やそれに近い事態になることは避ける。それには科学力が必要だと思う。一般市民が何をすべきで、何をしてはいけないのか教えてほしい。全国の動物学者さんには援助を惜しまないであげてほしい。

  2. 人間の長い歴史の中で、人間を襲う存在を意識しなかったのは、戦後のごくごく一瞬だけだろうと思う。
    今は管理社会へ向かっていると言われているが、クマなどと共生して、管理されない生き方をすることもできる。

  3. 礫のような棒手裏剣を矢じりにしてボウガンで放ったとしても四つ足で超突進してくるコイツらには全く衝撃ダメージ無さそう

  4. 6:45

    山登りでクマ避け鈴を携行しますが,諸刃の剣であることがよくわかる。

    音と人間の因果関係を学習するなら,人間を恐れるクマに鈴は効果がある。

    逆に人間を恐れないクマにとっては,エサがやってきたことを知らせるようなもの(;・`ω・́)

  5. そうです。そうです。①【見誤る】な、近ごろ熊(ツキノワグマ)が出没する訳は、郷の焚火(煙)を禁じたからです。

    ◆そうです。②熊対策として、燻化・煙化(除虫菊線香)・木酢液加工のヘルメット・作業服・合成皮革手袋などの着用をお薦めします。

    日本正党がんばれ。

    ◆そうです。③熊対策として、笛・熊よけスプレー・熊よけピストルなどを【トリガー態勢】での携行を厳守しなければ意味がありません。

    日本保守党サポート

  6. 人間が危険なものだと思ってないからね。むしろ簡単に手に入る弱い餌だと。クマよけの音がエサはここですよーって教えることにならないか心配。

  7. いつ遭遇してもいいように傘を持っている。結構、使える。目隠しも出来るし間合いが取れる。先が尖がってもいるし。

  8. 熊のテリトリーを犯して熊の住みかを減らした責任を感じて、熊を駆除をして人間は猛省するしかないでしょう。まず駆除をしてこれからを考えるべきだと思います。どちらにしても人間は反省するべきですね。

  9. 熊を虐めるな クマァ
    銃でやるのは卑怯だ クマァ
    餌を定期的に与えてやれ クマァ

    あっ、、、充電なくなりそう  クマァ

  10. 猟銃は無理でも毒餌とかでの駆除とかできないんかな。やっぱ何らかの免許必要なんかな

  11. 人里に下りて来たら殺される、仲間が帰って来ない、と学習させる必要がある。

  12. 一定の保護区のような物を設けて、他は全て駆除すればいいだろう。

  13. 子どもたちの前に現れたらこんなの化け物じゃん!シビエの肉にして食べちゃえ!こわいぞこんなのめの前に出て来たら戦車で倒すしかない警察だの狩人やののせぎのはなしではなくて数がはんぱない 自衛隊ダネ最後は

  14. まずは、くまのこともっと知るべきだなと思った
    何も知らないのに騒いでても、どう付き合うべきなのかわからない

    極端な思想が言い争いをしてるので

  15. 里山を復活させ山を降りづらくし境界を作り、降りてきた獣はある程度狩をする事により共存出来ないものでしょうか。

  16. 人里を金属製の柵で囲う。
    囲えない場所は熊を識別&通報できるようにAIカメラを設置とか。
    技術的には可能だと思うけど、あとはお金の問題ですかねぇ。。。

  17. 熊の生活圏を荒らしたのは人間だから仕方ない!!人間だけが地球上で最優先ではない!!

  18. 電流が流れてる電気柵も有効性と思うが!費用が掛かるからなあ、クマ撃退スプレーとかあれをもっと強力な噴射にしてくまが現れる場所に仕掛けて顔にまともに当たれば二度と近づかないのでは?問題はセンサー式だとクマ以外の動物にも噴射してしまうとシカとかマズイよなあ、、もし顔とかにまともにくらったら二度と近づかないと思う、

  19. 熊が多過ぎます。

    50年前は、人的被害はほとんど有りませんでした。

    50年前の頭数、現状の10分の1に駆除しなければ、地方の生活と観光が破壊されます

    奥山の餌だけで、昔は熊は安楽に生息していたのです。

    50年前は小学生の女の子達だけで、里山に山菜やキノコ採りに平気で行けました。

    他の野獣も含めて、天敵がほぼ居なく、猟師も減ったので爆増状態です。

  20. 温暖化対策やらないと駄目野生動物たち食べるものがないだろう温暖気候進まないようにしなければならないです

  21. それにしても野生の動物の目って本当に怖いな。対象を敵か餌かとしか思っていないような冷徹な目。恐ろしい生き物だと思う。

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